奈良に住んで39年!変わらないようで変わっていく奈良…今の奈良を記憶しておきたくて…備忘録です
時は奈良時代。聖武天皇が命じた東大寺大仏造営事業は、まだ端緒に就いたばかり。労役に当たるため、故郷から造仏所に徴発されてきた若者・真楯(またて)は、仏が本当にいるなど、思ったためしがない。だが、造仏所炊屋(かしきや)の炊男・宮麻呂が作る絶品の飯を心のよりどころに、仲間たちに支えられながら厳しい労苦に耐えるうち、しだいに食とは、仏とは何かに気付いていく――。現在、最も注目される著者が描く、傑作時代小説!
時は天平宝宇年間。藤原清河の家に仕える高向斐麻呂は14歳で大学寮に入寮した。ひそかに恋心を抱いていた清河の娘・広子のために、唐に渡った清河を迎えに行きたいという思いからだった。大学寮で学ぶのは儒学の基本理念である五常五倫。若者たちは互いに切磋琢磨しながら、将来は己が国を支えてゆくという希望を胸に抱いていた。だがそんな純粋な気持ちを裏切るかのように、政治の流れはうねりを増してゆく。第17回中山義秀文学賞受賞作品。